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バカリズムライブ「ぎ」に行った日の日記

5/12 バカリズムライブ「ぎ」

@草月ホール

出演:升野英知

 

 

なんで人間って全部忘れてっちゃうんだろうね。いやまあね、日々起こったことすべてを覚えていなきゃいけないとしたら、それはそれで絶対つらいんだろうなというのはすごくよくわかる。でももし、例えばこの一年のうち、24時間だけ記憶も感情もそっくりそのまま残しておけるんだとしたら、今日のバカリズムライブの2時間をそれに使っても損はしないなあと思ったんだよな。これ、「感情も」ってところが大事で。ひとつひとつの事実は割と後から確認できたりするのだけれど、そのときの自分の心の動き方みたいなものはほんと、絶対再現できないから。自分だけの、一回限りの経験だからね。でもだからこそ、この気持ちをどうにかこうにか、できる限り見える形で残しておけたらいいなと思ってぐずぐずと文字にしてしまうんだわ。とか、まあこのへんはお世話になってる先輩の受け売りなので聞き流してもらって大丈夫です。バカリズムライブ「ぎ」に行った日の日記です。ライブレポとかではないのでそういうの期待してたらすみません。また、ネタバレには自分なりに配慮をしていますが、多少内容に触れている部分があるのでそちらもご了承ください。

 

 

開場してすぐくらいに草月ホールについて、受付のあたりをぬるっと歩いていたら、関係者受付のあたりにかが屋のふたりがいて、ああ、バカリズムってマセキだっけ…みたいなことを思った。モギリの人も絶対見たことはあるんだけど名前がわからなくて、もっとマセキに通ってればよかったなとか思ったけど、別に知らなくてもいいことではあるのか。でも気になっちゃうね、なんかね。

 

転売だけど定価で手に入れたチケットは、上手側の前から4列目で、バティオスにいるときくらい舞台が近かった。席についたところで改めて、本気で何回か感謝の気持ちを唱えてしまったな。後ろの席が関西弁の大学生で、このライブのこの場所に来れていることがどれくらい大変だったかみたいな話をしていた、いいよな、そういうの。あと隣の人がルシファーさんの単独のフライヤーの写真を撮ってた。いいよなあ、そういうの。あのフライヤーまじでかっこいいもんな。

 

まずそもそも、開演前の影アナからめちゃくちゃ良かったんだわ。あそこから「バカリズムっぽさ」みたいなものがちゃんと出てて、これは最高のライブになるなと思っちゃった。

 

ネタは1本目の構成から衝撃的で、映像の使い方も良くて、バカみたいに面白くて、なぜか泣きそうになった。なんだよあれ、もはやちょっと怖いよな、人間は理解できる範疇を超えると恐怖を感じるようになってんだわ。いや理解できなかったとかって意味ではなくて。一応断りを入れておきたいんだけど、私はゴリゴリのバカリズムのファンとかではないんですよ、いや申し訳ないけどそれは。ライブ行くのも初めてだし。ネタ番組とかYoutubeでネタ見てたくらいで。でもいやそれをほんとうに反省したくなるレベルだったんすよ、いやまじで。もう。

 

そっからのオープニングの映像も音楽もアホみたいにかっこよくて、やべ〜〜〜すげ〜〜〜って思ってたら次のコントが始まった。基本的な構成としてはコント1本、幕間の映像ネタ1本の繰り返し。タイトルはだいたい、「ぎ」に絡めたもので統一されてた(り、1本目の内容からの伏線を回収してみたり。)  コントの中では「志望遊戯」が特に好きだった気がする。お笑いが好きな人は多分絶対ハマるやつだと思った。ニヤニヤしちゃう感じな。ああでも、「難儀と律儀」とか「の?」みたいなワードセンスがバッキバキのやつも最高だったし、「六本木の女王」も良かったな。なんとなく1人何役もやるコントのイメージはあんまりなかったんだけど、絶妙すぎてとにかく笑っちゃった。最後の展開びっくりしたなあ、いやもう最高だった。それだけじゃなくて「過ぎてゆく〜」とか「ふしぎ」みたいな、いわゆる1人コントの真骨頂みたいなやつの仕上がり方もすごすぎたんだ。「ふしぎ」、バチボコに面白かったな………みんなの常識にある世界とバカリズムさんの世界観の、ちょうど良いところで笑わせに来てる、みたいな、なんか。作り込み感のない演技力もさすが。大道具はそこまで大したものは使ってないのに、しっかり情景が見えるのもすごいなと思った。この前のシソンヌの単独見てるから余計にそう思ったのかもしれないな、どっちが良い悪いじゃなしにね。研ぎ澄まされた言葉とその使い方で、ぐぐっとバカリズムの世界に引きずり込まれる感じ、あんまり経験したことのない感覚だった。それは幕間の映像もそうで。「ギガ」「銀」「卒業」「律儀」とかか。全部は覚えてないけどとりあえず練馬区民はほんとに最高、あと『なにか』のボディーブローも。「疑い男」の顔もずるかったなあ。言葉ひとつの使い方がほんとにすごいんだよな、家電量販店とか道聞く設定とかであそこまで面白いとかずるすぎでしょ。

いやぐだぐだ言ってすみませんほんと、分かんないんすよ、わたし、おもしろの分析ができるほどお笑いには長けてないから下手なことは言えないんだけど。斜に構えつつ、でもしっかりと、世の中にいるいろんな人間たちや、ちょっとだけ引っかかる事象みたいなものたちを、絶妙に、むちゃくちゃに、確実に面白く表現してるんだわ、すげえよ、ほんと。前回あたりの記事で書いた「陰」のエネルギーをこの世でいちばんうまく使いこなしてる芸人さんなんじゃないかな。なんだ何様だこの言い方。すみません。

テレビでもひっぱりだこですごく忙しいはずなのに、あのまでのクオリティでネタを仕上げてきてるの、ほんとうにすごい。すごいな。すごいしか言えない自分が悔しい。

 

時間はどんどん過ぎて、最後のコントも最高だった。私でもちょっとだけ覚えてる「都道府県」とかやってた頃のバカリズムの感じと、ゴッドタンみたいな大人の悪ノリみたいな感じの良いとこ取りで、展開とかもう予想の数段上から来て、いやもうとにかくびっくりして面白くてびっくりして面白くて終わった。むちゃくちゃだよ。確実にバカリズムさんにしかできないネタだろうな。いやまあ全部そうか。

 

そんでエンディング、またすげえかっこいい映像と音楽のなか、Special Thanksで普段見てるようなライブに出てる人達の名前が流れたのがなんだか嬉しかったなあ。みんなお手伝いお疲れ様という気持ちになるね。

 

帰り道、頭からあの面白さがこぼれ落ちてしまわないように、静かに信濃町まで向かいながら、今ライブシーンで活躍してて、私が応援してるような芸人さん達、特にピンの人なんかのことをあれこれ思ったりした。彼らがいつか、こういう大きな劇場で、いろんな人からスタンド花がたくさん届いて、お金もたくさんかけて、満員のお客さんの前でネタをやって、たくさんの笑いを生み出して…みたいな未来を想像すると、すごくわくわくする。そうなってほしい。絶対に幸せだ、きっと、すごく。

いつも思うけど、単独ライブってほんとうに幸せな空間なんだよな。芸人さんが自分の世界観を100パーセント表現できて、客は自分が好きな芸人さんの世界に100パーセント浸れて。その芸人さんが好きな人たちに囲まれてて、みんな本気で笑いに来てる。愛しかないな。濃い。いい文化。 

今日感じた気持ちに近いものを、かつてのodolのワンマンの記事に自分で書いてて、ああなるほどなと思った。音楽もお笑いも一緒だった。

個人的に、最近はいろいろと良くない状態が続いていて苦しい毎日なんですよね。別にそれは何も解決できていないのだけど、でも今日みたいに、良いライブに行けて、本当に幸せだなと思える瞬間があったりすると、まあ、死なずになんとか、うまくやっていこうと思えたりしますね。

生きるとか死ぬとか言うと、途端に大げさな話に聞こえてしまうのですが、よく生きていくためにはきっとこういう積み重ねが大事なんだろうなと思いました。栄養や睡眠や、もう少し言えば愛情とか承認とかはもちろん必要だと思います。でも、その上にある、誰かのポジティブな思いや努力の結晶みたいなものにこそ、「よく」生かされている気がします。お笑いとか小説とか映画とかも全部一緒かなと思います。全部そう。一生懸命生きている人に生かされている。

(引用:odolのワンマンライブ、「variation」に行った話 - 首を長くして聴いてる )

一生懸命生きてる人に生かされてるな、ほんと。ほんと、ありがたいっすわ。私のような人間が言ってどうこうなるわけでもないしほんと誰なんだよという話だけど、バカリズムさんの今後の幸せを願わずにはいられないな。ありがとうございました。おやすみなさい。